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十中八九自分も覗かれている

画像はイメージです

真由美たち大学のテニス部員にとって、実質上の夏休みは三日間しかなかった。
そんな貴重な三日間を、テニス部の練習熱心で仲良しな真由美たち一年生八人は、一年生だけでキャンプに出掛ける事になった。

半分はテニスの練習もして、半分は川で泳いだり騒いだり、同学年だけの気兼ねの要らない楽しいキャンプだ。
自然豊かな山の上のキャンプ地は、夏休みと言うこともあってそこそこの人出ではあったが、とりあえずロフト型で二部屋あるロッジを借りることが出来た。

八人には決して広い部屋とは言えなかったが、普段の遠征の時に泊まる宿も同じような狭さだったし、男女四人ずつに二部屋なので気にならなかった。

一日目は到着するなり予め話を通しておいた近くの中学校のコートを借りて真面目にテニスの練習をした。
身に染み付いた練習癖は渓谷の風景に囲まれても変わらなかったが、一年生だけの練習は楽しかった。
たっぷり練習して3時に切り上げると、皆で水着に着替えて川に飛び込んだ。

体力自慢の八人は練習の後にも関わらず夕方まで泳ぎ続け、夕食はロッジの庭でバーベキューをして盛り上がった。
バーベキューの材料を運んでいた真由美は、小道の縁から見える自分たちのロッジの小さな窓に気付いた。
ごついよろい戸が違和感があり印象に残ったのだが、それが何の窓かはその後すぐに分かった。

夕食を終えてお風呂にお湯を張ろうと浴室に入ると、さっきの窓があった。
さっきはよろい戸風の雨戸が閉まっていたのだが、何故か今は透明のガラス窓を通して外の茂みが眺められた。
外の景色を眺めながらのお風呂なんて風流だなあと思いつつ、真由美はお湯を張った。

リビングでお酒を飲みながら歓談が続く中、女の子から一人ずつ順番にお風呂に入った。
真由美は女子の中では最後だった。
他の人が入っている途中でごみを出しに外へ出ると、茂みの辺りに人の気配を感じた。
さっきからリビングで見かけなくなっていた男子が二人、こそこそしながら何かをのぞき込んでいた。
視線の先には明かりの漏れている窓・・・。

つまり、女の子の入浴を覗いていたのだ。
男の子二人は真由美に気付かず、必死に窓の中をのぞき込んでいる。
さっき閉まっていたよろい戸をいつの間にか開けていたのは彼らだったのだろう。
その表情は、印象的なくらいに楽しそうで、嬉しそうで、幸せそうだった。

女の子がお風呂から出たようで、男の子二人も引き上げる様子を見せたので真由美も見つからないようにさっと引き上げたものの、その後すぐ自分の入浴の順番が回ってきた。
脱衣室で服を脱ぎながら、前に入った女の子が覗かれたのはお湯を張る時に自分が雨戸を閉めなかったからだという思いが頭によぎった。

裸になって、タオルで前を隠しながら浴室に入り、窓を見た。
外にはお風呂からの明かりで薄ぼんやりと茂みが見えるが、それ以外は漆黒の暗闇に見えた。
ここで自分だけ雨戸を閉めるのは、先に入った女の子に悪い気がしてきた。

結局、雨戸を閉める決断が出せないまま、洗い場では無理をして窓に背を向けた格好で体を洗った。
十中八九自分も覗かれているに違いないと思った。
さっきの男の子二人ののぞき込み悦ぶ様子が思い出される。
爛々と輝く眼差しで、嬉しそうに窓の中をのぞき込んでいた。

ふと、自分の入浴シーンでもあんなに悦んでくれるのかなと考えた。
髪も体も顔も、洗い終わってしまった。
立ち上がって浴槽につからなければならないが、さすがに浴槽の向こう側にある窓に背を向けたまま浴槽に入るのは難しかった。

タオルで隠しながらというのが妥当な線だと思われたが、真由美は少し考えてからタオルを浴槽の縁に置き、すっくと立ち上がり、浴槽側、つまり窓に向かう側に正面向いた。
きっと、乳首も恥毛も、全身が丸見えになるであろう状態で立ち、深呼吸した。

心の中で、男の子たちの突き刺さるような視線を一身に浴びていた。
心地よかった。
浴槽に足をつけても、何故か肩までお湯につかりたくなかった。
浴槽の縁に腰を下ろして足で湯船を掻き回して遊んだ。

これもまた、窓の外から全身が確認できる恰好と分かってのことだった。
外でこの光景を眺めているのは、仲の良い同期のテニス部員であり、彼ら一人一人の嬉しそうにのぞき込む顔が目に浮かんだ。
一瞬でも見逃すものかとかっと目を見開いて見ていてくれているかと思うと、わくわくしてきた。

これまで、痴漢に襲われた時には触られたり恐い思いをさせられたりでいい思い出がなかったが、今回は違った。
裸を父親以外の男の人に見られるなどと言うのは初めてのことだったが、綺麗な服を見られたい、可愛い下着を見られたいという感覚の延長で、自分の裸体を見られたいという欲求が自分の中にあることがはっきりと分かった。
真由美はたっぷりと時間をかけて入浴タイムを過ごし、夢心地で浴室を後にした。


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