2025年11月05日
年末の約束が引き裂いた、私たちの幸せ
その日は12月24日、クリスマスイブだった。街中が恋人たちの笑顔で溢れ、イルミネーションがきらめく中、私は高校時代からの親友、菜々子と悠人カップルのデートに付き合わされていた。颯、24歳のフリーターの僕にとって、こういうイベントは正直、居心地が悪いだけだった。レストランで食事をしていると、些細なことから悠人の機嫌が悪くなり、ついには「もう帰る」と席を立った。菜々子も引きつった笑顔で「ごめん、私も帰るね」と僕に告げ、悠人を追いかけるように店を出て行った。僕は一人残され、虚しい気持ちでグラスを傾けた。
しばらくして、コンビニでビールを買い、ぼんやりと街を歩いていると、見慣れた千鳥足の人影が見えた。菜々子だった。どうやら悠人と別れた後、一人で飲み続けていたらしい。心配になって声をかけると、彼女は涙でくしゃくしゃの顔を上げて、「颯くん…」とだけ言って、ぐずりだした。醉った勢いもあって、彼女は悠人との喧嘩の愚痴をまくし立てる。僕は仕方なく、近くにあった24時間営業のカフェに連れて行き、コーヒーを飲ませて落ち着かせることにした。
カフェで時間は過ぎ、気づけば終電はとっくに過ぎていた。菜々子の醉いはますます回り、まともに歩ける状態ではない。タクシーを拾おうとしたが、イブの夜はどこも満車で全然捕まらない。
「どうしよう…」と途方に暮れる僕に、菜々子はべったりと寄りかかってくる。彼女の身体の温もりと、ほのかに香る甘い香水の匂いが、僕の理性をゆっくりと蝕んでいった。
「うち、近いから…。一旦休んでいかない? 明るくなったら帰そう」
僕はそう提案した。彼女はうつむきながら、微かにうなずいた。
僕の狭いワンルームマンションに着くと、菜々子はベッドに倒れ込むように座った。僕は緊張しながらお湯を沸かし、緑茶を入れる。そんな僕の背中に、いつの間にか菜々子が抱きついていた。
「颯くん…優しいね。悠人なんかより、ずっと…」
彼女の囁く声が耳元で響く。彼女の腕が僕の胸の前で絡み合う。僕はゆっくりと振り返り、彼女の潤んだ瞳を見つめた。次の瞬間、僕たちの唇が重なった。最初は優しく、そして次第に激しく、貪るように。嫉妬と醉いと、抑えきれない欲望が僕を突き動かす。
僕は菜々子をベッドに押し倒し、その身体の上に覆い被さった。彼女の柔らかい身体、膨らんだ胸、細い腰。服の上からでも、その魅力は十分に伝わってきた。僕は彼女の首筋にキスをし、耳元で「菜々子…」と彼女の名前を呼ぶ。彼女は「ん…颯くん…」と喘ぎ、僕の背中を強く掴んだ。僕の手は彼女のブラウスのボタンを外し、下着をずらして、柔らかな胸の感触を確かめる。彼女は身悶えるように激しく息を弾ませ、僕の手を求めるように腰をくねらせる。
「颯くん…お願い…もっと…」
彼女の甘ったるい声が、僕の最後の理性を吹き飛ばした。僕は彼女の全ての衣服を脱がせ、自分も素肌になる。彼女の美しい裸体が、薄暗い部屋の中にくっきりと浮かび上がる。僕は彼女の腿の間に手を滑り込ませ、慎重に、しかし確実に愛撫を始める。彼女の秘部はすでに濡れ、熱を持っていた。
「気持ちいい…ああ…」
彼女の喘ぎ声が部屋に響く。僕は彼女のクリトリスを指先で弄り、時折、奥へと指を滑り込ませる。彼女の腰は自然と動き、僕の手を追いかけるように激しく揺れる。
「菜々子…入れるよ」
僕はそう囁き、自分もたまらないほどに膨らんだ欲望を、彼女の濡れた入口に押し当てた。彼女はうなずき、目を閉じる。ゆっくりと、少しずつ、僕はその中へと入っていった。彼女の内部の熱く、締め付けるような感覚に、僕は思わず声を漏らした。
「あっ…!」
完全に結合した瞬間、菜々子も鋭い吐息を上げた。僕は腰を動かし始める。最初はゆっくりと、リズムを探るように。彼女の喘ぎ声が、僕の動きに合わせて大きくなる。
「颯くん、もっと、激しくして…」
彼女の言葉に促され、僕は腰の動きを速め、深く突き入れる。ベッドがきしむ。僕たちの汗と吐息が混ざり合う。彼女は僕の背中に爪を立て、激しく腰をくねらせて応える。僕は彼女の唇を奪い、舌を絡めながら、欲望のままに腰を振り続けた。快感は頂点へと向かって加速していく。僕は彼女の耳元で、「イく…イっちゃう…」と呻く。彼女も「私も…一緒に…」と喘ぎ叫んだ。そして、僕たちはほぼ同時に、激しい絶頂に達した。僕の熱いものが彼女の奥深くに解放され、彼女も身体を硬直させて嗚咽を上げる。
しばらくの間、僕たちはただ抱き合い、激しい呼吸を整えていた。やがて僕は彼女の身体から抜き去り、横に倒れ込んだ。菜々子は僕の胸に顔を埋め、すぐに眠ってしまった。僕は天井を見つめながら、罪悪感と達成感が入り混じった複雑な気持ちに苛まれた。でも、もう後戻りはできない。
それから数日後、菜々子から連絡があった。悠人とはきっぱり別れたらしい。そして、僕との関係も自然と続いていった。僕はフリーターのままだったが、菜々子はOLとして働きながら、よく僕の部屋に泊まりに来た。あのイブの夜と同じように、激しく、貪るように愛し合った。ベッドの上でも、シャワーの中でも、ソファの上でも。彼女の喘ぎ声はいつも僕を狂わせた。
ある日、高校の同級生で菜々子の親友でもある美咲と三人で食事をした。美咲は遠距離恋愛中の婚約者がいるのに、最近冷たくなったと悩んでいた。
「年末から全然会ってくれなくて…結婚式の相談もしたいのに」
美咲が寂しそうに言う。僕は胸が痛んだ。彼女の婚約者の名前は、確か…
「ねえ、私、日曜日に彼の家に行ってみようと思うんだ。一人じゃ不安だから、二人も付き合ってくれない?」
美咲にそう頼まれ、菜々子と顔を見合わせる。菜々子の顔色が一瞬で曇ったのを見て、僕は嫌な予感がした。でも断る理由も見つからず、僕たちは仕方なく承諾した。
日曜日、美咲の婚約者、涼太のマンションに向かうエレベーターの中は、重苦しい沈黙に包まれていた。ドアを開けると、そこには涼太と、部屋着姿の菜々子が立っていた。美咲の悲鳴が響く。「菜々子…どうして…?」
菜々子は蒼白になった涼太を押しのけるようにして、玄関から飛び出していった。美咲はその場に崩れ落ちて泣き叫ぶ。僕はただ呆然と立ち尽くすしかなかった。菜々子が階段の方へ走って行くのが見えた。僕は美咲を置いて、追いかけた。
階段の踊り場で、僕は菜々子を見つけた。彼女は涙でぐしゃぐしゃの顔を上げ、僕を見た。
「颯…ごめん…。あの夜の後、涼太からも連絡が来て…。醉った勢いで、また…」
僕は全てを理解した。菜々子は僕だけじゃなかった。涼太とも関係を持ち、そして美咲を傷つけていた。怒りよりも、深い虚無感が僕を包んだ。その時、階段の上から美咲が駆け下りてきた。彼女は菜々子を見つめ、嗚咽を漏らす。
「信じられない…あなたがそんな…」
美咲は菜々子を強く突き飛ばした。バランスを崩した菜々子は、そのまま階段を転がり落ちていった。下から鈍い音が響き、そして全てが静かになった。
病院に運ばれた菜々子は、一命は取り留めたものの、流産していた。僕の子か、涼太の子か、それはわからないままだ。美咲と涼太は破局し、菜々子とももちろん別れた。今、僕はあの狭いワンルームで、クリスマスイブの夜のことを思い出す。あの温もりも、喘ぎ声も、全てが偽物だったんだ。窓の外では、今年のイルミネーションが虚しくきらめいている。僕はまたグラスを傾ける。もう二度と、あんな思いはしたくない。
しばらくして、コンビニでビールを買い、ぼんやりと街を歩いていると、見慣れた千鳥足の人影が見えた。菜々子だった。どうやら悠人と別れた後、一人で飲み続けていたらしい。心配になって声をかけると、彼女は涙でくしゃくしゃの顔を上げて、「颯くん…」とだけ言って、ぐずりだした。醉った勢いもあって、彼女は悠人との喧嘩の愚痴をまくし立てる。僕は仕方なく、近くにあった24時間営業のカフェに連れて行き、コーヒーを飲ませて落ち着かせることにした。
カフェで時間は過ぎ、気づけば終電はとっくに過ぎていた。菜々子の醉いはますます回り、まともに歩ける状態ではない。タクシーを拾おうとしたが、イブの夜はどこも満車で全然捕まらない。
「どうしよう…」と途方に暮れる僕に、菜々子はべったりと寄りかかってくる。彼女の身体の温もりと、ほのかに香る甘い香水の匂いが、僕の理性をゆっくりと蝕んでいった。
「うち、近いから…。一旦休んでいかない? 明るくなったら帰そう」
僕はそう提案した。彼女はうつむきながら、微かにうなずいた。
僕の狭いワンルームマンションに着くと、菜々子はベッドに倒れ込むように座った。僕は緊張しながらお湯を沸かし、緑茶を入れる。そんな僕の背中に、いつの間にか菜々子が抱きついていた。
「颯くん…優しいね。悠人なんかより、ずっと…」
彼女の囁く声が耳元で響く。彼女の腕が僕の胸の前で絡み合う。僕はゆっくりと振り返り、彼女の潤んだ瞳を見つめた。次の瞬間、僕たちの唇が重なった。最初は優しく、そして次第に激しく、貪るように。嫉妬と醉いと、抑えきれない欲望が僕を突き動かす。
僕は菜々子をベッドに押し倒し、その身体の上に覆い被さった。彼女の柔らかい身体、膨らんだ胸、細い腰。服の上からでも、その魅力は十分に伝わってきた。僕は彼女の首筋にキスをし、耳元で「菜々子…」と彼女の名前を呼ぶ。彼女は「ん…颯くん…」と喘ぎ、僕の背中を強く掴んだ。僕の手は彼女のブラウスのボタンを外し、下着をずらして、柔らかな胸の感触を確かめる。彼女は身悶えるように激しく息を弾ませ、僕の手を求めるように腰をくねらせる。
「颯くん…お願い…もっと…」
彼女の甘ったるい声が、僕の最後の理性を吹き飛ばした。僕は彼女の全ての衣服を脱がせ、自分も素肌になる。彼女の美しい裸体が、薄暗い部屋の中にくっきりと浮かび上がる。僕は彼女の腿の間に手を滑り込ませ、慎重に、しかし確実に愛撫を始める。彼女の秘部はすでに濡れ、熱を持っていた。
「気持ちいい…ああ…」
彼女の喘ぎ声が部屋に響く。僕は彼女のクリトリスを指先で弄り、時折、奥へと指を滑り込ませる。彼女の腰は自然と動き、僕の手を追いかけるように激しく揺れる。
「菜々子…入れるよ」
僕はそう囁き、自分もたまらないほどに膨らんだ欲望を、彼女の濡れた入口に押し当てた。彼女はうなずき、目を閉じる。ゆっくりと、少しずつ、僕はその中へと入っていった。彼女の内部の熱く、締め付けるような感覚に、僕は思わず声を漏らした。
「あっ…!」
完全に結合した瞬間、菜々子も鋭い吐息を上げた。僕は腰を動かし始める。最初はゆっくりと、リズムを探るように。彼女の喘ぎ声が、僕の動きに合わせて大きくなる。
「颯くん、もっと、激しくして…」
彼女の言葉に促され、僕は腰の動きを速め、深く突き入れる。ベッドがきしむ。僕たちの汗と吐息が混ざり合う。彼女は僕の背中に爪を立て、激しく腰をくねらせて応える。僕は彼女の唇を奪い、舌を絡めながら、欲望のままに腰を振り続けた。快感は頂点へと向かって加速していく。僕は彼女の耳元で、「イく…イっちゃう…」と呻く。彼女も「私も…一緒に…」と喘ぎ叫んだ。そして、僕たちはほぼ同時に、激しい絶頂に達した。僕の熱いものが彼女の奥深くに解放され、彼女も身体を硬直させて嗚咽を上げる。
しばらくの間、僕たちはただ抱き合い、激しい呼吸を整えていた。やがて僕は彼女の身体から抜き去り、横に倒れ込んだ。菜々子は僕の胸に顔を埋め、すぐに眠ってしまった。僕は天井を見つめながら、罪悪感と達成感が入り混じった複雑な気持ちに苛まれた。でも、もう後戻りはできない。
それから数日後、菜々子から連絡があった。悠人とはきっぱり別れたらしい。そして、僕との関係も自然と続いていった。僕はフリーターのままだったが、菜々子はOLとして働きながら、よく僕の部屋に泊まりに来た。あのイブの夜と同じように、激しく、貪るように愛し合った。ベッドの上でも、シャワーの中でも、ソファの上でも。彼女の喘ぎ声はいつも僕を狂わせた。
ある日、高校の同級生で菜々子の親友でもある美咲と三人で食事をした。美咲は遠距離恋愛中の婚約者がいるのに、最近冷たくなったと悩んでいた。
「年末から全然会ってくれなくて…結婚式の相談もしたいのに」
美咲が寂しそうに言う。僕は胸が痛んだ。彼女の婚約者の名前は、確か…
「ねえ、私、日曜日に彼の家に行ってみようと思うんだ。一人じゃ不安だから、二人も付き合ってくれない?」
美咲にそう頼まれ、菜々子と顔を見合わせる。菜々子の顔色が一瞬で曇ったのを見て、僕は嫌な予感がした。でも断る理由も見つからず、僕たちは仕方なく承諾した。
日曜日、美咲の婚約者、涼太のマンションに向かうエレベーターの中は、重苦しい沈黙に包まれていた。ドアを開けると、そこには涼太と、部屋着姿の菜々子が立っていた。美咲の悲鳴が響く。「菜々子…どうして…?」
菜々子は蒼白になった涼太を押しのけるようにして、玄関から飛び出していった。美咲はその場に崩れ落ちて泣き叫ぶ。僕はただ呆然と立ち尽くすしかなかった。菜々子が階段の方へ走って行くのが見えた。僕は美咲を置いて、追いかけた。
階段の踊り場で、僕は菜々子を見つけた。彼女は涙でぐしゃぐしゃの顔を上げ、僕を見た。
「颯…ごめん…。あの夜の後、涼太からも連絡が来て…。醉った勢いで、また…」
僕は全てを理解した。菜々子は僕だけじゃなかった。涼太とも関係を持ち、そして美咲を傷つけていた。怒りよりも、深い虚無感が僕を包んだ。その時、階段の上から美咲が駆け下りてきた。彼女は菜々子を見つめ、嗚咽を漏らす。
「信じられない…あなたがそんな…」
美咲は菜々子を強く突き飛ばした。バランスを崩した菜々子は、そのまま階段を転がり落ちていった。下から鈍い音が響き、そして全てが静かになった。
病院に運ばれた菜々子は、一命は取り留めたものの、流産していた。僕の子か、涼太の子か、それはわからないままだ。美咲と涼太は破局し、菜々子とももちろん別れた。今、僕はあの狭いワンルームで、クリスマスイブの夜のことを思い出す。あの温もりも、喘ぎ声も、全てが偽物だったんだ。窓の外では、今年のイルミネーションが虚しくきらめいている。僕はまたグラスを傾ける。もう二度と、あんな思いはしたくない。










